極地と砂漠を結ぶアート：フロリアン・W・ミュラーの「Drive2Extremes Multivision」

ポルシェと共に描く、極限の美

フロリアン・W・ミュラーは、商業写真家としてポルシェとの関わりを持つ一方、アーティストとしても多重露光写真を用いた作品を数多く手掛けてきた。彼が新たに挑んだプロジェクト「Drive2Extremes Multivision」では、ポルシェの映画「Drive2Extrems」が描いた砂漠と極地という二つの異なる地域を一枚の写真の中に結びつける試みが行われた。

このプロジェクトの特徴は、フィンランドの北極圏内に位置するレヴィと、アラブ首長国連邦のリワ砂漠という、二つの極端な環境をポルシェ・タイカン・クロスツーリスモと共に描き出している点にある。ミュラーはまず極地でタイカンを撮影し、その後、砂漠で同じ角度、同じカメラアングルでタイカンを配置し、多重露光の技術を駆使して一枚の写真に仕上げた。

この作品の制作にあたっては、北極圏内の凍った湿地でポルシェを配置し撮影した後、2週間後に同じカメラの位置、同じ太陽の位置でアラビア砂漠で撮影し、その二つの画像を流れるように組み合わせるという方法が採られた。その結果、異なるサイズの複数のアートワークが制作された。

このプロジェクトの挑戦は、車を正確に同じ角度、高さで配置することだった。特に砂漠では、日の出と日没が非常に早いため、迅速に作業を進める必要があった。しかし、ミュラーはこれらの困難を乗り越え、極地と砂漠、二つの異なる環境を一枚の写真に結びつけることに成功した。

この作品は、2022年のA' Photography and Photo Manipulation Design Awardで銀賞を受賞。その創造性と専門性、革新性を評価され、優れた技術的特性と芸術的技巧を持つ作品として称えられた。